個人的な内容の詩ばかりです。
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No.29

せんむのおじちゃん
せんむのおじちゃんに会いたい

子どものころ、ばあちゃん家にいくと
ときどきせんむのおじちゃんがいた
なにものなのかは分からない

大きくて、はつらつとした声だった
子どもがほんとうに好きなんだと、子どもの時思った
いっぱい遊んで、いっぱい笑わせてくれた
せんむのおじちゃん

中学に上がる前に
せんむのおじちゃんがしんだらしいときいた
いつ葬式をやっていたのかも分からない
そうなんだ、と思った

大人になって、なぜか時々思い出す

スケート場で急に目の前が真っ暗になって
だーれだ?って声が聞こえて
振り返って、せんむのおじちゃんがいて
うれしさのあまり胸がつっかえてなにも言えなかった

一生懸命生きて死んだあとは
真っ先に、せんむのおじちゃんに会いたい