個人的な内容の詩ばかりです。
TOPに戻る


No.37

うつだったとき
※一部、暗い表現があります。



うつだったとき
黒い海の浅瀬に つねに足首が浸かっていて
時々 大きな波が来て私の全身を覆った

強烈なトラウマの光景が 一日中頭の中で再生される日があった
ありえないケアレスミスをたくさんした
薬の副作用で 身体の重さが急に変わって うまく階段を降りれなかった
わけもわからずいろんなものに怒って 泣いた

マンションや 人々や 食べ物がそこにあるだけなのに
目の前には間違いなく地獄があった


あるときから 病気や生き方に関する本を大量に読むようになった
長い字を読むのはつらかったけど なぜかそういう本は読めた

月日をかけて1冊 1冊
本に書いてあることを ちょっとずつ拾って
本当にちょっとずつ実践した

最終的に100冊くらい読んで
参考になったのは20冊くらいだった
賛成できないことはやらなかったり やめたりした

うまくいかないことが多かったけど
うまくいったときもあった

そういうのを何度も繰り返して
ある日 うしろを振り返ったら
海は 凪で
みょうに優しい水色になっていた

トラウマがあっても それなりに楽しく生きれることを知った
ありえないぐらい ケアレスミスが減った
体重は ほぼ元に戻った
ふつうの人のように 理由があって怒り 泣けるようになった

目の前には マンションや 人々や 食べ物があった

優しくなる方法を勉強したわけじゃないのに
優しくなったねと言われた
強くなる方法を勉強したわけじゃないのに
強くなったなあと言われた

うつだったとき
この黒い海から出れる日は一生来ないのだと
本気で思った

うつじゃなくなったとき
黒い海の先に この優しい凪の海があったのだと
何度も思う



------------------------
この詩は私の体験のありのままを書いたものです。治療法や考え方を押し付ける意図はありません。